「後藤さんはやっぱ優しくて天使」

う、どうしよう。これってあんまりよくないパターンなんだ。

男子って1人ぼっちの女子に対して無責任に同情したりするんだけど、それが更なるもめ事をうむ時もある。

寂しいけど、こういう経験にも慣れてしまってる私にはこの先の展開も容易に想像できた。

「猫宮、後藤そしたらこっちに入れば?」

その時、聞き覚えのある凛とした声が上がってざわめきが一瞬で止まる

横を見れば、一条くんが私たちを見ていたから、びっくりした。

うそ、まさかこんなことって……。

一条くんの周りには4人が集まっている。

不良で一匹狼のイメージがあるけど頼りがいがある彼を慕っている男子はわりと多い。

しかも、クラスでも目立つ存在のいわゆる一軍男子達ばかり。

「いいよ、2人共こっちに来なよ」

一条くんの隣にいる木下くんも快く言って手招きしてくれた。

だけど、この状況に佐伯さんは黙っていなかった。

「そんなの、ズルい。それなら私だって一条くんと一緒のグループがいいよ」

佐伯さんは、半泣きでそう言って私に近寄ってきた。