「好きな人同士で自由に5人くらのグループを組んでください」

「先生、男女混合になってもいいですか?」

「いいよー」

「やったー」

担任の20代くらいの先生は気さくで生徒からも人気がある。

今日の6時間めのホームルームでは、さ来週にせまった校外学習の自由行動のグループ分けをしようという話だった。

だけど、この(好きな人同士)って単語は私にとってトラウマ。

好きな人同士イコール仲の良い人同士ってこと。

今までいた学校ではこういう時、1人だけ最後まで余ってしまい気を利かせた先生に適当に振り分けられるのが常で……。

私にとっては地獄のようないたたまれない時間になるんだよね。

今回もきっとそうなるに決まってる……って落ち込みながら拳をぎゅっと握り瞼を伏せていた。

周りの子たちは楽しげに集まって、どんどんグループが成立している。

「すずちゃん、よかったらうちの班に入らない?」

すると、前の席の花音ちゃんが振り返って誘ってきてくれた。