それは全身の毛を逆立てて怒っている茶トラ猫……ってこの猫は。
「お兄っ……」
思わず叫んでしまったけど、すぐに口を押えた。
一条くんはきょとんとして目をしばたたかせている。
どうしてこんなところにお兄がいるの?
一条くんの前で変身した化け猫の姿をさらすなんてよっぽど我を忘れてるんだろうか。
まさか、さっきの私と一条くんのやりとりを見てたのかな。
もしそうなら恥ずかしすぎるよ。
「なんだ猫か、おまえここに住んでるのか?」
「フー」
うなり声を上げてすごむ兄を構わず抱きかかえる一条くん。
「そんなに怒るなよ。ここがおまえの縄張りだって知らなかったんだ。勝手に入り込んで悪かったな」
穏やかに諭しながら、身をよじって嫌がる兄の首の下を撫でる一条くん。
「よしよし、落ち着け落ち着け」
猫に接するときの彼が、凄く優しい顔になるのがたまらないんだよね。
はあ、私もまた猫になったらこんな風に……って私ったら何を考えてるんだか。
お兄に嫉妬しても意味ないよ。
「ゴロゴロ」
兄も複雑な表情でそれでも気持ちがいいのか目を細めている。
ぷぷっ、笑っちゃいけないけど、なんとも滑稽で。
実際、ほんとのことを知ったら一条くんはどんな顔をするんだろうな。
それを想像しちゃってますますおかしくて必死に笑いをかみ殺していた。
はあ、一条くんって本当に猫の扱いが上手だなぁ。
「お兄っ……」
思わず叫んでしまったけど、すぐに口を押えた。
一条くんはきょとんとして目をしばたたかせている。
どうしてこんなところにお兄がいるの?
一条くんの前で変身した化け猫の姿をさらすなんてよっぽど我を忘れてるんだろうか。
まさか、さっきの私と一条くんのやりとりを見てたのかな。
もしそうなら恥ずかしすぎるよ。
「なんだ猫か、おまえここに住んでるのか?」
「フー」
うなり声を上げてすごむ兄を構わず抱きかかえる一条くん。
「そんなに怒るなよ。ここがおまえの縄張りだって知らなかったんだ。勝手に入り込んで悪かったな」
穏やかに諭しながら、身をよじって嫌がる兄の首の下を撫でる一条くん。
「よしよし、落ち着け落ち着け」
猫に接するときの彼が、凄く優しい顔になるのがたまらないんだよね。
はあ、私もまた猫になったらこんな風に……って私ったら何を考えてるんだか。
お兄に嫉妬しても意味ないよ。
「ゴロゴロ」
兄も複雑な表情でそれでも気持ちがいいのか目を細めている。
ぷぷっ、笑っちゃいけないけど、なんとも滑稽で。
実際、ほんとのことを知ったら一条くんはどんな顔をするんだろうな。
それを想像しちゃってますますおかしくて必死に笑いをかみ殺していた。
はあ、一条くんって本当に猫の扱いが上手だなぁ。