「久しぶり?12年ぶりかな?」
高校入学1ヶ月前。私は、あるカフェにいた。
横には、いつもどうりとても綺麗で自慢のお母さん。前には、見覚えのあるようなないような男の人が5人。男の人とはいえ、5人中4人は、私に似た色素の薄い容姿だ。
見覚えは、あるような気がするけど、あったことあったっけ?
私が、首を傾げていたのを見て少女漫画に出てきそうな、ゆるふわ王子様系の人が口を開いた。
「凜々、本当に僕たちのこと分からない?」
私を見て子犬のような目を向けてくるその人。
え…?まさか…
「一月?」
私がそう呼ぶと嬉しそうに彼・本宮一月(いつき)は、嬉しそうに昔と変わらない笑い方で笑った。

一月とは、私と同い年の兄。私は、5つ子として生まれて、その末っ子だった。
上の4人は、全員男子で、上から一月(いつき)二葉(ふたば)三夜(みよ)、そして四音(しおん)だ。
そして末っ子の私、凜々(りり)。私たちは、毎日仲良く過ごしていた。そう、4歳になるまでは…
4歳の夏の頃だったような気がする。
お父さんとお母さんが私たちを呼んで、真剣な顔をしていたのをよく覚えてる。そして、その口から飛び出てきたのは、『離婚』という言葉だった。
私たちは、その『離婚』がまだ分からなくて、悲しむまもなく離れ離れになった。
お父さんが、兄たちとこの家に残り、お母さんは、私とお母さんの実家であるとある海沿いのまちへ引っ越した。
「ママ、どうしてパパたちと別々に暮らすの?」
そう、小さい頃お母さんに一回だけたずねたことがある。その時、お母さんが苦しそうに顔をゆがませたのを今でも鮮明に覚えていた。
なのにどうして今離れたはずの家族が、集まるの?

「凜々、ごめんな。困惑してると思うんだけど。」
開口一番に、そういったお父さん。
私は、バックからあるものを取りだしながら、たずねる。
「私は、いいんだけどさ、お母さんとどうして一緒にいたの?」
私は、こないだ友達と遊びに行った時にスマホで 撮った写真を写してお母さん立ちに突きつけた。
「ここにいるのお母さんたちだよね?」
目を細めながらたずねると、お父さんは、口をパクパクして言いにくそうだ。
それを見かねたお母さんが、かわりにこう爆弾発言を落としてきた。
「あのね凜々、お母さんたち再婚することになったの。これからは、また7人で一緒に暮らせるのよ?」
頭の中が、?で埋めつくされていく。
思わず落としてしまったスマホを、三夜らしい人が拾って渡してくれる。
私は、お礼を言い受け取ると、助けを求めて思わず兄たちを見る。
兄たちは、無言で揃って頷いてきた。
まじか…
純粋に嬉しさよりも、驚きが勝手しまう。
「冗談じゃないんだよね?」
改めて確認しても間違いは、無い。
そしてさらに、今日1番の爆弾発言を落としてきた。
「凜々、お父さんたちね、今日から引っ越してくるの。明日からは、一月たちと一緒に学校行くんだからね!」
嘘といぅことを願いながら帰っても、ダメなものは、ダメ。
空いていた4つの部屋には、いつの間にかそれぞれの荷物の入ったダンボールが運び込まれていた。