文化祭、定期テストと終わり、俺たちは夏休みを迎えた。俺は昔のことを思い出すために毎日外に出た。そして母親からよく遊んでいた場所を聞き、足を運んでいた。しかし、そんな都合よく記憶が戻るわけはなかった。

凛月「はぁ…。完全に行き詰ったな。できることは一通りやったけど…。手がかりなしかぁ…。」

すると家のインターホンが鳴った。

凛月「はい?」

結華「凛月~!!開けて~!!」

ガチャッ。

凛月「どうした?」

結華「暇??暇だよね!行くよ!!」

結華はそう言うと俺の手を引いて走り出した。

凛月「おい、結華!俺行くなんて一言も…!!」

結華「いいから黙って着いて来て!どうせ行き詰ってるんでしょ?」

凛月「うっ!それは…。」

俺は完全に図星をつかれ、大人しく結華に着いて行った。

歩くこと30分以上。ようやく到着したのは森だった。その森はとても神秘的でどこか懐かしく感じた。

凛月「ここは…?」

結華「ちょっとしたリフレッシュだよ。それに、ここでよく遊んだんだ、3人で。」

凛月「そうなのか。綺麗だな、それに涼しい。」

結華「でしょ?ねぇ、まだ歩けるよね?」

結華はそう言うと黙って着いてこいと言わんばかりに歩き出した。俺は結華の後を追った。

15分くらい歩くと大きい空洞があった。まるで秘密基地のようだった。

凛月「すげぇ…。入ってみてもいいか??」

無意識に目が輝いていた。

結華「ふふ、もちろん。私たちのもう1つの家だもの。」

結華の了承を得た俺は真っ先に空洞へ入っていった。そこに広がったのは結華の言う通り、家みたいだった。1つの空洞が3つの空間に分けられていた。ついこの間まで人が住んでいたと言っても支障がないくらい生活感に溢れていた。そしてそこには俺の私物と思われる物があった。

凛月「これ、俺の…?」

結華「そうね、凛月は特に物を持ち込んでたからね。ちなみにそこは凛月の場所だよ。」

凛月「そうなのか、確かに俺っぽい。」

結華「その向かいが私の場所ね。懐かしいなぁ!」

結華の話を合わせると、俺と結華の後ろのスペースが遥翔の場所だったのだろう。

凛月「ここで俺たちは何をしてたんだ?」

結華「そんなたいそうなことはしてないよ。ただ子どもらしく遊んでただけ!」

凛月「そうだったのか。すごく落ち着く…。」

いるだけで満たされるような感覚を覚えた。その瞬間、猛烈な眠気に襲われた。

凛月「やば…。なんか超ねみぃ…。少し寝てもいいか?」

結華「うん、いいよ。ゆっくり休みな?おやすみ。」

結華の言葉を最後に俺は意識を手放した。そこでまた夢を見た。