《遥翔side》

10年経った。俺はスクールカウンセラーとして中学校に勤務している。最近の子どもたちは、悩みや不安を打ち明けない傾向にある。それで精神的に追い込まれてしまうようだ。俺はそんな子どもたちを1人でも多く支えるためにカウンセラーになった。だから、極力子どもたちと仲良くなることにした。

学生1「遥翔先生!!」

遥翔「ん?こらっ!俺は先生じゃないぞ~。ウリウリ~!」

学生1「いててっ!先生馬鹿力すぎんだろ~!」

学生2「あっ!やってるねぇ遥翔先生!」

この2人は俺がこの学校に来て最初に相談を受けた生徒たちだ。

学生1「そういえば先生、明日って時間あるかな?」

遥翔「どうかしたのか?」

学生1「先生、この学校まだ慣れてないみたいだから案内しようと思って!俺らの友達も紹介したいし。」

学生2「あぁ、それあり!」

遥翔「ありがとな2人とも。でも、明日は俺休み取ってるからいないんだ。明後日でもいいか?」

学生2「え~明日いないの??」

遥翔「あぁ、ごめんな。大事な約束があるんだ。」

学生1「もしかして彼女とか!?」

遥翔「残念ながら彼女の類はいないんだな~。」

学生2「先生にとってその約束は何よりも大事なの?」

遥翔「あぁそうだ。自分の命よりもな…。その人たちがいなかったら、俺は今ここにいない。だから、絶対に行くんだ。」

学生1「そっか~。じゃあ案内は明後日やるね!」

遥翔「ありがとな2人とも!」

俺は生徒たちの頭を撫でながら、明日が来るのを待ち遠しく思っていた。寝坊しないように早めに眠りについた。明日、俺の仲間たちに笑顔で会えるように…。

《瞬side》

あっという間に10年の時が流れた。俺は現在自分の病院を経営し、医者として働いていた。深夜でも早朝でも対応できるように整備し、できるだけ多くの患者を受け入れられるようにした。そのおかげか多くの患者が利用している。

同期「瞬、そろそろ休憩しろよ。」

瞬「あぁ、もうこんな時間か。仕事をしてると時間が経つのが早いな。」

同期「お茶いれたけど飲む?」

瞬「あぁ、飲む。」

同期「ほらよ。」

瞬「ありがとう。」

この同期は大学で知り合った友人だ。俺が病院を設立すると言ったら、働きたいと志願してくれた。

同期「根詰めすぎじゃね?」

瞬「大丈夫だ。それに明日俺がいなくても問題ないようにしておかないと…。」

同期「そっか、明日休みだっけ?」

瞬「そうだ、事前に言っておいただろ?」

同期「そうだったな、忘れてたよ。友達か?」

瞬「友達…、確かに傍からしたら友達かもな。」

同期「もしかしてお前によく連絡くれるあの美女も一緒か?」

瞬「美女?結華のことか?確かに一緒だが、俺以外にも2人男がいるぞ。」

同期「そうかよ…。お前、何で結華ちゃんと付き合わないんだよ?あんな美女から言い寄ってくれたら本望だろ!!」

瞬「もともと彼女を作る気はない。結華ならいい男と幸せになるだろう。俺より優れてる人間なんて大勢いるからな。」

同期「結華ちゃん可哀想だな…。まぁとにかく、楽しんで来いよ!」

瞬「言われるまでもない。」

10年というのは本当に早い。もう大人になったのかという感覚だ。ひとまず、明日に備えて早く寝るとしよう…。