《瞬side》

遥翔「お前、凛月とも結華ともいつ知り合ったんだ?」

瞬「凛月とは今年の夏休みに、結華とは最近だ。」

遥翔「夏休みに凛月来てたのか…。そういえば何でここに…。」

瞬「ここ、約束の場所なんだろ?凛月の記憶の回復のきっかけになればいいと思ったんだよ。」

遥翔「なるほどな。さすが瞬だ。」

瞬「話戻すけどさ、お前難しく考えすぎなんじゃねぇの?」

遥翔「え…?」

瞬「ずっと思ってたことだ。お前の話を聞くと、お前自身の意思はどこにあるんだろうって思う時がある…今もそうだ。何度も言うが、これはお前と凛月の問題だ。親が口出ししていいわけがねぇ。お前は凛月に会いたい、凛月もお前に会いたがってる。利害は一致してる、それじゃダメなのか?」

俺がそう問うと、遥翔はきょとんとした。

遥翔「俺の意思…?俺は凛月に会いたいし謝りたい。でも、母さんたちはそれを否定したから、俺の考えは間違ってる。」

瞬「親に縛られるな、親にお前の選択や意思まで否定する権利はねぇよ。お前は自分のしたいようにするんだ。」

遥翔「俺のしたいように、する…。母さんたちは間違ってるってことか?」

遥翔と目が合う。俺は、目線を外さず言った。

瞬「あぁ、そうだ。お前の親は間違ってる。正しいのは、遥翔の意思だけだ!」

遥翔「俺の意思が正しい…?ははっ、へっ…そっか、そうだったんだな。」

遥翔の碧い瞳に光が戻り、真っ直ぐに俺を見据えた。

遥翔「ありがとう瞬。お前のおかげで一歩前に進める。」

瞬「おう。」

遥翔「凛月に会いたいけど、その前に母さんたちと話してくる。俺なりにけじめつけてからじゃねぇと会う資格ないしな。てことで帰るわ。瞬、本当にありがとう。感謝してもしきれないな。」

瞬「おう頑張れよ。俺は何があっても遥翔、お前の味方だ。」

遥翔「一番心強い味方だ!!」

遥翔は笑顔でこの海を後にした。俺は結華たちと合流するべく足を進めた。

《しばらくして》

瞬「凛月!結華!」

凛月「瞬!どこにいたんだよ~!」

瞬「わりぃ、ちょっと色々あってな。」

結華「声の元凶は見つかったの?」

瞬「あぁ、酔っぱらったおじさんだったよ。介抱してた。」

凛月「なんだそうだったのかよ。驚かせやがって~!」

瞬「それで凛月、何か進捗あったか?」

凛月「あぁ、あったよ。この写真のおかげでな。」

瞬「なんだ?その写真。」

結華「この海の家の店主が凛月の知り合いだったらしいの。昔撮った写真が飾ってあったのよ。」

凛月「これが店長で、これが俺。そんでこれが遥翔だ。やっと思い出した。これで心置きなく遥翔に会うことができる。瞬との取引の代償も達成だ!」

瞬「あぁ、したなそういえばそんな取引。じゃあ、あとは約束の日を待つのみだな。」」

凛月「おう!!」