夏休みから進展はなく、あっという間に季節は流れて行った。11月10日、気づけば東京も冬を迎えていた。

凛月「さっむ!」

結華「ほんとね~。」

結局ここ2カ月、大した進歩はない。でも不思議と焦ってない。実は明日から3連休だから、瞬に会いに行こうと思ってる。

結華「そういえば、3連休どうするの?」

凛月「部活もないから、瞬に会いに行こうと思ってる。」

結華「私も行く!」

凛月「え?何言ってんの?」

結華「私だって手伝いたいもん!一緒に行く!遥翔のことも知ってるし、文句ないでしょ?」

そして半ば強引に結華も行くことになってしまった。

翌日、東京駅から盛岡駅に到着した。盛岡駅には瞬が迎えに来てくれた。

瞬「凛月、こっちだ。」

凛月「瞬!迎えありがとな!」

瞬「どういたしまして。それじゃ行くか。」

凛月「いや、その前に瞬に言わないといけないことがあって…。というかごめん。」

瞬「は?どういうこと?」

結華「凛月、お待たせ!トイレ混んでた。」

声の主を見た瞬は俺を睨んだ。

瞬「おい、聞いてないぞ?」

凛月「昨日着いてくって聞かなくて…。ごめん。」

結華「緊急ですみません。神崎結華といいます。でも、私も遥翔と凛月の幼馴染です。なので、私にも協力させてください!」

結華はそう言って頭を下げた。瞬は目つきを普段に戻し、結華を見た。

瞬「えっと、神崎さん。頭を上げてください。協力してくれるなら大歓迎です。」

結華「ありがとうございます!結華って呼んでください!敬語も不要です!」

瞬「わかったよ結華。それじゃあ改めて、西條瞬。呼び方は任せる、敬語はいらない。」

結華「じゃあ瞬って呼ぶね!」

2人が和解してくれたことに安堵していた。しかし、瞬の家に向かってる途中、恐れていたことが起こった。

結華「ねぇ、凛月。」

結華が俺にコソコソと話しかけてきた。

凛月「ん?何だ?」

結華「瞬ってかっこいいね。しかも優しいし。私好みだ…。彼女いるのかな?」

凛月「えっ!?」

まさか、思っていた通り結華は瞬に惚れてしまった。驚きのあまり大きな声が出てしまった。

瞬「ん?どうした?」

凛月「な、なんでもない!なんでもないから!」

瞬「そ、そうか?何かあったら言えよ?」

凛月「お、おう…。」

その一言で結華のハートは完全に瞬のものになってしまった。

結華「やっぱり好き…!」

小声で言っていたとしても心臓に悪い言葉を紡いだ結華を慌てて止めた。

凛月「おい、やめろよ!今回の目的は違うからな?」

結華「わかってるって!」

結華はウインクしてそう告げた。だが、結華のこの感じでは嫌な予感しかなかった。

凛月「絶対わかってねぇだろ!!」

瞬「おい、何やってんだよ?喧嘩か?」

凛月「喧嘩じゃないよ…。」

結華「うん!心配いらないよ!」

瞬は怪訝そうな顔をしたが、深くは聞いてこなかった。

俺はこの先に不安を覚えながらも瞬に着いて行った。