久しぶりに自分の家に帰った。

凛月「ただいま~。」

母「おかえり、凛月!」

帰ってすぐ母親に抱き締められた。

凛月「母さん?」

母「あぁ、ごめんね。久しぶりだからつい…。」

凛月「そうか。確かに久しぶりだな。」

結華「ほんとだよ。」

凛月「え?結華!?何でいるんだよ!」

結華「小母さんが寂しいって言ったから、あんたが帰ってくるまで泊ってたのよ。ベッド借りたからね。」

凛月「なるほどな…。さんきゅな。」

結華「気にしないでよ。それより!勢いで岩手に行ったみたいだけど、何か収穫あったの?」

凛月「あぁ、ばっちりだ!」

俺は結華と母さんに岩手でのあったことを話した。もちろん瞬のことも。

結華「へぇ、遥翔が相談できる相手がいるんだね~。」

母「そうねぇ…。遥翔くんは何でも自分ひとりでって感じだから意外だったわ。」

凛月「瞬も同じこと言ってたな。でも瞬めちゃ良い奴で、本当に助けられた。」

結華「確かに、話を聞く限り瞬くんに随分お世話になったみたいねぇ?」

結華がにこりと笑った。しかし、目は笑っていない…。

結華「まぁ当然よね~新幹線の予約だけして、ホテルも取らずに行ったんだものねぇ?しかも遥翔を探す当てもないのに。」

凛月「うっ…!無計画だってわかってた。でも、案外時間ないって思ったらいてもたってもいられなくて…。」

結華「反省してるなら良し。でも、顔つきが変わったわね。瞬くんの影響?」

凛月「多分な。ちゃんと決意したんだ、遥翔を思い出すって。」

結華「いいなぁ~。私も瞬くんに会ってみたかった…。」

凛月「えっ!?ダメ!絶対ダメ!!」

結華「え、なんでよ!」

凛月「えっと、それは…。」

言えるわけがない…。結華は基本恋愛事には興味がないが、理想は当然あるわけで…。結華は恐ろしく理想が高い。イケメンで勉強も運動もできてギャップがあるような男子がいいらしいんだが…、瞬は当てはまっているのだ。会わせたら、瞬は結華の猛烈アピールの餌食になるに違いない。しかし、素直にそんなことが言えるわけもなく、俺は言葉に詰まってしまった。

結華「なによもう…。遥翔の恩人で凛月も会ったんだから、私にも会う権利があると思うんだけど?」

凛月「ま、まぁ、その話はまた今度な!俺、部屋でやることあっから、じゃあな!」

俺はそそくさと部屋へ戻り、部屋の鍵をかけた。

結華「あ、凛月!逃げんなっ!って、もう遅かった…。逃げ足の速さは相変わらずね。」

母「ごめんね、結華ちゃん。」

結華「いえいえ、小母さんが謝る必要ないですよ。今度みっちり聞き出すんで!じゃあ、私そろそろ帰りますね。」

母「えぇ、本当にありがとう。気を付けて帰ってね。」

結華「はい!」

ガチャッ。

玄関が閉まる音が聞こえた。結華が帰ったのだろう。

凛月「はぁ、助かった…。」

~♪

凛月「あ、瞬からLINEだ。」

瞬【無事帰れたか?】

凛月【おう!大丈夫だ!でも、家帰ったら結華いてビビった…。】

瞬【おぉ、そりゃびっくりだな。ちゃんと岩手にいた間の経過報告できたか?】

凛月【ばっちりだぜ!ただ…。ちょっと懸念が…。】

瞬【なんだよ?】

凛月【瞬の話をしたら、結華が会いたいって…。】

瞬【あぁ~。まぁ、機会あればって感じだな。】

凛月【いやいや、多分会わない方がいいかも…?】

瞬【あ?何でだ?】

俺はLINEで瞬が結華の理想ドストライクであることを説明した。

凛月【だから、もし会ったら瞬が餌食に…。】

瞬【なるほどな。でもさすがに惚れるはないだろ。一回くらいなら平気だろ?】

凛月【いやいや!結華は何か鋭いんだよ!油断してると喰われる…。】

瞬【な、なるほどな。そこまで言うなら、会わない方がいいかもな…。】

凛月【理解してくれて良かった。】

瞬【さて、遅くに連絡して悪かったな。もう寝るか?】

凛月【あぁ、確かに眠いな…。寝ることにするよ。】

瞬【ゆっくり休めよ。おやすみ。】

凛月【おやすみ。】

そこでLINEは終わった。俺は風呂も明日にして寝ることにした。