「なあ、俺行ってくるわ」

その言葉が聞こえた瞬間、足は竦んで動けなくなり、肩はビクッと揺れた。それと同時に、女の子とは思えない音の深い足音が近づいてくる。
数秒経って、その足音が止まった。

「ねぇ、1年せ「オイ」

話しかけられた!って思ったけど、それはさっき聞いたあの男の子の声ではなかった。

…は、隼人…?

それは、私がずっと昔から好きだった、優しくて、かっこいい低い声だった。

「俺の彼女を口説こうとしてんじゃねぇよ」



その声は、私が聞いたことのないくらい、低くて、怖い声色だった。
隼人に言われた瞬間、その男の子たちの集団は、ピューッと逃げていった。
私は顔を真っ赤に染めながら、隼人も変わってないなぁ、と思った。

その男の子たちが完全に見えなくなってから、隼人は私の手を引っ張って、人気の少ない第2校舎に連れて行った。