〝如月〟という苗字は見た限り見当たらなかったから、隼人はいないかな…。でもこの学校には入学していて、クラスが違うだけっていう可能性もあるか。
ぶつぶつとつぶやきながら体育館へ向かっていると、ドンッという効果音がつきそうなくらい思いっきり誰かとぶつかった。

「すいません。俺の不注意で」

その瞬間、私は急いで顔を上げた。
少し声が低くなって、声変わりしているが、これは…!

「隼、人?」

気づいたら、私はその言葉を発していた。
ハッと我に返り、慌てて口をもごっと手で押さえる。

「すいません。昔よく遊んだ幼馴染に、声がすごく似てたので…!」

相手の男の子はポカーンとしていて、顔を真っ赤に染めていた。
ど、どうしよう!ね、熱でもあるのかなっ!

「あのっ!大じょ「もしかして、柚凪?」

私の声を遮るように言った隼人…彼の言葉を聴いた瞬間に、私はポカーンと口を開けたまんま固まってしまった。