隼人のことを考えていたら、あっという間に学校についていた。

こんなに隼人のことを考えてる割には、隼人の現状を私は知らない。どこの高校に行ったのか、ずっとここに住んでいたのか、そして、好きな子や、彼女はできたのか―――
何もかもわからない。

でも、もしこの学校に通うのならば――なんて希望も、抱いてたりする自分がいる。

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「1年B組は…ここか」

昇降口まで歩き、クラスを確認してから1年B組の下駄箱へと進む。下駄箱は、一人ひとり小さいロッカーみたいな形状をしていた。

中学校を卒業するときに、学校で近くの高校を見学しましょう、みたいな特別授業があって、その高校はそこそこ頭も良かったし、制服も可愛くて、校舎も綺麗だった。
そのせいか、多分あの中学校の卒業生の5分の4の人たちは、あの高校に行ったんじゃないかと思う。

藤嶺高校は、県内トップの学力を持っているし、校舎も広くきれいなためか、中学校近くの高校にあったような木の下駄箱じゃなく、こんな鉄製の下駄箱なのかなぁと、下駄箱だけで感心してしまった。

ローファーを履き、廊下を歩く。
下駄箱に書かれている名前をちらっと見てみたけど、知ってる名前はなかった。もしかしたらあったのかもしれない。

あんまりまじまじと見ると変かなぁ、と思ってしっかり見なかったけど、見ればよかったなぁと後から後悔した。