私、朝倉柚凪(あさくらゆずな)。

今日からここ、藤嶺高校(ふじねこうこう)に通う、高校1年生。

私は関西から引っ越してきたんだけど、実は関西に住む前はここに住んでいた。といってもここにいたのは中学1年生までだったから、街の雰囲気は変わっていなかったけど、やっぱりあったものがなくなっていたり、なかったものがあったりと、随分と変わっていた。

高校までの道には、昔彼と一緒に遊んだ公園や、母さんに頼まれておつかいに行った八百屋さんなどがあって、思い出が溢れていた。

その中で、何よりも気に留まったのは、私がたったの3週間しか行けなかった中学校。
校舎は随分ボロボロになっていて、私がいた頃と比べると、見違えるほど変わっていた。

そしてそんな校舎に向かって歩いていく、私好みの制服を着た中学生たちが、ぞろぞろと反対車線の歩道を歩いていた。
その様子を見ていると、じんわりという感覚を目元に感じた。

あれっ、私、泣いてる…?

下唇をぎゅっと噛み締めながら泣いている自分が情けなくて仕方がなかった。それと同時に、変わってないなぁと実感する。

あのときと、同じ。