「俺さ、」

皇坂くんの声が少し震えていた。
泣いてる・・・?

「俺、燈真に出会えてよかったって思ってるんだよ」

私は何も言わずに皇坂くんの話に耳を傾ける。

「俺、中学3年間バスケ部だったんだ。
部活もクラスも同じ奴が1人だけいてソイツとはすぐに仲良くなっていつも一緒にいた。
3年間すげぇ楽しかった。ソイツがいたから楽しかったんだ。

でも、部活を引退して受験シーズンになったとき聞きたくなかったことを聞いたんだ」

そこまで言うと皇坂くんは私からそっと離れる。
少し潤んだ瞳が私の瞳を捉える。

「ソイツは俺のことを友達とは思っていなかった。
俺と一緒にいると女子からモテるから一緒にいた、
でも俺がいると自分はいつも二番手になる、
俺といた3年間は無駄な時間だった、って。」

「そんな・・・」

「女子から騒がれているのは知ってた、
でもそんなこと気にならないくらいソイツと一緒にいるのが楽しかったんだよな・・・

それからはもう全部がどうでもよくなってさ。
どん底に突き落とされた気分になって、バスケも中学で辞めたんだ。
高校も誰もいないところに行こうって決めて今の高校にした」

「そう、だったんだね」

私はただ話を聞くことしか出来なかった。