その笑顔にまた見惚れてしまう。
本当に綺麗に優しく笑うなぁ・・・。

「お姉ちゃんは帰る?」

ボールを鞄からだしながら燈真が私を見る。

「うん、帰るよ。
練習の邪魔したくないし。」

「わかった!いつもの時間に帰るから!」

「うん、練習頑張ってね。ちゃんと水分とるんだよ」

「はーい!」と返事をしながらコートのほうへ走って行ってしまった。

「逢原さん」

名前を呼ばれるのと同時に隣に人影を感じる。
ふと見上げると優しく笑う皇坂くんの姿があった。
ドキッとしながらも冷静さを装い「ん?」と返事をする。

「ありがとう」

「・・・っ」

何も言葉が出なかった。
いや、だせなかった。

皇坂くんがあまりにも優しく笑うから。
そんな表情を見せられたら勘違いしちゃうよ。
そんな風に私を見つめないで・・・。

「燈真の大会が終わったらさ、、、遊びに行かない?2人で」

「えっ」

「考えといて」

それだけ言うと燈真がいるところへ歩き出した。

「待っ!」
「あ、」

私が呼びかけるのと同時に皇坂くんが振り返った。

「家までの帰り道、気を付けてな」

それだけ言うと今まで見たことないくらいの柔らかい笑顔で私に手を振った。

「っ///」

私の顔が赤面するのは仕方のないことだと思う。
だからあの笑顔は反則だって・・・!
ドキドキする胸をおさえながら背中を見つめる。

言葉にしたい気持ちをグッと堪えて、
2人に背を向け公園の出口まで歩き出す。

きっとこんなにも顔が熱いのは今日の天気が晴れだからだ。
自分にそう言い聞かせ、家までの道のりを歩いた。