「無神経すぎたね、ごめん。忘れて」

咄嗟にそう言ったけどでてしまった言葉を取り消すことは出来ない。
頭を少し下げる。

「・・・」

皇坂くんから返答はない。
怒らせてしまったかもしれない、顔を上げることが出来なかった。

「逢原さんが謝ることないんてないよ」

「え・・・?」

その言葉に顔をゆっくり上げる。
皇坂くんは私をじっと見つめていた。

「誰とも会話しないのは必要以上に関わりをもちたくないから。
相手の気持ちに踏み込みたくないし、踏み込まれたくないから。
ただそれだけ。」

目は合っているはずなのに合っていないかのような感覚。
すごく冷たい目をしていた。

「・・・そっか」

「・・・」

その場の重たい空気に耐え切れなかったのか分からないが、
皇坂くんがもう一度立ち上がろうとしたとき、

「ひとつだけ」

無意識に私の口が動いた。

「ひとつだけいい?」

何も言わなかったが私の目をじっと見つめ、言葉を待っているかのように思えた。