「あ、、ありがとう」

あまりにも真っ直ぐに見つめてくるものだから
私も逸らせなかった。

「お姉ちゃん!お待たせ~!」

そんな中、硬い空気を壊すような明るい声が聞こえた。
準備を終えた燈真だ。

「忘れ物ない?」

「うん、大丈夫!」

屈託のない笑顔を私に向け、お兄さんがいるほうを向く。

「お兄さん!ありがとうございました!
また教えてください!それまでに今日教えてもらったシュート練習します!」

「あぁ、また待ってる。練習のしすぎの怪我だけには気を付けろよ」

「わかりました!」

燈真の笑顔につられ、お兄さんも笑う。
その笑顔に不覚にもドキッとした自分がいた。

「お姉ちゃん、帰ろ?
袋、1つ持つね」

燈真の声に我に返り、エコバックを1つ渡す。
もう一度お兄さんを見ると目が合ったがすぐに逸らされ、
また背を向け歩き出してしまった。