「だって、その方法しか夜の学校に忍び込める方法ないじゃん!」

 この作戦が無茶苦茶だってことは、わたしも知ってる。
 だけどここまで来たらもう開き直るしかない!

「……本気なの?」

 萌香ちゃんはまだ納得していない様子。

 わたしは大きくうなずく。
 
「うん!本気だよ!それに、ばれなければ大丈夫!」
「でも……夜の学校でひっそり忍んでるなんて怖すぎない⁉」

 うっ。そういわれると、少し怖気づいてしまいそうになる。

「こ、怖くないよ! わたしはスクープのためなら……こわくない!」

 心の奥に顔を出した怖いという感情を消したくて。
 わたしは、にかっと笑った。

 
「スクープかぁ」

 萌香ちゃんは、ぽつりとつぶやいたあと、悲しそうにほほ笑んだ。
 ひょっとして、なにか気にしてる……?


 大丈夫だよ。だって、ここはわたしが……!


「大丈夫!わたしが萌香ちゃんの代わりに、でっかいスクープ取ってくるから!」

 
 なんだか悲しそうな顔をしたので、わたしは励ますように大きな声を出した。

 この学校で怖い噂があるアリアさん。
 恐怖のエピソードを手に入れて。

 アリアさんには、みんなが震えるような恐怖の存在になってもらわないとね。
 


 こうして、わたしはアリアさんのスクープ記事を書くために。
 夜の学校に忍び込むこととなった。


 この時は知らなかったんだ。
 まさか、あんなことになるなんて――。