わたしは情報提供箱に入っていた紙を丸めてごみ箱に投げ捨てた。
 ニセモノの情報なんていらない…!


 それに、アリアさんが良い幽霊なんて新聞記事。
 いったい誰が喜ぶのかな……。

 アリアさんの記事を書くなら、身の毛がよだつくらい怖くてハラハラするような!
 そんな記事の方が、絶対人気になるよね。

 そんなことを考えていたら。

「アリアさんのこと記事にできたら、人気でそうだよね」

 萌香ちゃんは、ぽつりとつぶやく。
 まるでわたしの心を読んだかのようだった。

「萌香ちゃんってエスパー⁉」

 わたしがずいッと体を乗り出すと、萌香ちゃんは苦笑いを浮かべる。
 
「そうだよっ!アリアさんのこと記事にしようよ」
「それは、前から議題に上がってるけどさ。『アリアさんの情報がつかめないから無理だ』って結論出たでしょ?」

 萌香ちゃんは淡々という。
 
 その通りなんだ。
 アリアさんのことを記事にしたいという提案は、ずっとあるものだった。


 だけどある情報としたら……。
 銀色のウェーブがかった髪。女の子の容姿。

 
 本当かウソかわからない、見た目の情報。
 この噂も、真実はわからないんだよね。


 アリアさんの噂はたくさんある。
 だけどどれも情報が少なすぎて、記事にするにはむずかしかった。