いっ、……たくない。

 何かがつぶれる音が、確かにしたのに。
 ちっとも痛みを感じない。

 ゆっくり瞼を開けると、目を疑った。

「えっ、どうして……」

 わたしの目の前には、ぐしゃりと潰されたましゅちゃんが倒れていたのだ。

 思わず急いで抱きかかえた。

「ま、ましゅちゃん……!?」

 すると、右腕がぽろりと取れてしまった。
 お腹の部分も握りつぶされたようにへこんでいる。

 目の前の出来事を信じたくなくて、わたしはふるふると顔を振る。


 まさか、まさか!
 ましゅちゃんは、わたしのために……。?

 ましゅちゃんは、わたしの身代わりになってくれたのだ。
 もしきてくれなければ、きっとわたしの体が潰されていた。

 悔しさと悲しさで顔がゆがむ。

「なんで、どうして……。わたしを恨んでたんじゃないの?」

 ぽろぽろと涙がでてくる。
 するとその時。

「とも、だち…だから」

 確かにましゅちゃんの体から聞こえた。
 抱きかかえた距離でやっと聞こえるくらいの声。
 だけど確かに聞こえたんだ。