学校を出たわたしは無我夢中で走った。
ハア、ハア。
なにも考えたくなくて、ひたすらに走った。
全速力で走ったおかげで、あっという間に家に着いた。
「た、ただいま……」
「おかえりー。あら、顔色真っ青じゃない?」
全速力で走ったせいだと思う。
お母さんが心配そうに、わたしの顔を覗き込む。
「だ、大丈夫。ちょっと……走ってきたから。部屋で着替えてくるね」
階段を上がり、二階の自分の部屋のドアを開ける。
やっと安心できる。
そう思ったのに――。
ガタッ――!!
わたしは尻もちをつく。
「な、な、なんでっ!?」
思わず叫んだ。
そんなことありえない。
絶対にいるはずがないのに……!
目があったんだ…。
ましゅちゃんの薄いピンクの瞳と。
信じられなかった。
でも、学校のごみ箱に捨てたはずのましゅちゃんは……。
確かに勉強机の上に座っていた。