わたしは帰るために、カバンを手に持った。
ゴクリと息をのむ。
倒れたときは、ましゅちゃんと目があった瞬間に、体が重くなったような気がした。
「大丈夫か? やっぱり一緒に帰るか?」
固まる私に気づいたのか志音くんは、いつもより優しく声をかけてくれた。
「だ、大丈夫!うん、大丈夫だから」
ふうっと、深く息を吸い込む。
それからゆっくりとカバンの中を確認する。
……やっぱりましゅちゃんがいた。
家にいたはずのましゅちゃん。
わたしがカバンに入れ間違えるはずなんてない。
志音くんが言った通り。
ましゅちゃんがわたしを呪っているのかもしれない。
理由はわからないけれど。
どくんどくんと心臓が音を立てる。
「本当に大丈夫か?」
志音くんに声を掛けられ、ハッとする。
やっぱりこの人形はおかしい気がする。
そばにいては……いけない気がするんだ。
震える手のひらをぎゅっと握って力をこめる。