「こんなこと言っても信じてもらえないと思うけど。わたし持ってきてないのに……勝手にましゅちゃ…人形がカバンに入ってたの」
「そんなわけ……」

 きっとわたしのことを心配してくれんだんだと思う。
 志音くんは、否定しようとしたのを飲み込んだ。

「葉月の言うとおり、呪われてるんじゃねーのか? あの人形」

 心がさっと凍りついたように冷たくなる。

 わたしの体が重くなりだしたのと、ましゅちゃんが姿を現した日は同じ日だった。

 嫌な予感がして、胸がざわつく。

「わ、わかんないよ。それに、どうしてましゅちゃんがわたしのことを……?」

 昨日の夢のことも。カバンにましゅちゃんがいたことも。
 わけがわからないんだ。

 もしかして、本当に志音くんの言うとおりなのかもしれない。
 わたしはましゅちゃんに呪われている……?

 
「今日はもう帰ろうぜ。倒れたあと陽菜は眠ってたから、もう放課後!」
「えっ、そうなの……?」
「ああ、俺先生に報告してくるから」
「ありがとう……志音くん!ごめん、やっぱり1人で帰るよ」
「いや、なにかあったら危ないだろ」
「大丈夫!ほんとうに大丈夫だから!」


 一緒に帰ることを断ったのには理由がある。

 わたしは帰る前に、行きたい場所ができたから。