ぱちりと目を開けると、白い天井が目に入った。
周りをみると、わたしはベッドに寝かせられていて、白いカーテンに囲まれている。
まだぼーっとする頭で考えた。
ここは、きっと保健室かな。
教室でカバンの中にましゅちゃんがいて、急に体が重くなって倒れちゃったんだ。
自分の状況を確認していると。
「あ、起きてた。大丈夫か?」
白いカーテンの隙間から声が聞こえた。
ぱっと横を見ると、心配そうにのぞき込む志音くんだった。
「えっと、」
「お前が倒れて、俺が運んできたんだよ。あ、先生が慌てて混乱してたから仕方なくだぞっ!」
恥ずかしそうに、頭をぽりぽりかいている。
「そうだったんだ。運んできてくれてありがとう。わたし昨日寝不足で……きっとそのせいかな」
昨晩、怖い夢を見たせいで。
朝方まで眠れなかったもんなぁ…。
きっとそのせいで倒れてしまったのかも。
「葉月が『陽菜が体が重いって言ったり倒れたのは、呪いの人形のせいだ!』とか言い出すから、みんな盛り上がって大変だったんだからな!」
ため息をつきながら続ける。
「さすがに人形を学校に持ってくるなよー。それに驚いたように叫ぶから、みんなビビっちまったよ」
「……わたし、もってきてないの!」
「は?」
すぐに言い返すと、志音くんは首をかしげた。
当然だ。実際にカバンに入っていたのだから。
持ってきてないなんて。信じてもらえないよね。
だけど本当なんだ。わたしは確かに勉強机の上に座るましゅちゃんを見送ったんだもん……。