すると、ハッと目が覚める。
 勢いよくがばっと起き上がった。

 周りを確認すると、そこは見慣れた自分の部屋。

 よかった。あの夢から覚めたんだ。
 首元を触ると、じんわりと汗をかいていた。

「すごく怖かったなあ……」

 夢から覚めた今でも、あの不気味な雰囲気や、どこからか聞こえた声を思い出せる。

 わたしが夢を見るのは珍しいことだった。
 それにこんなに現実的な夢をみたのは、はじめてだ。
 まだ胸がどきどきと音を立てている。

 自分の部屋の景色にほっとする。
 部屋の中を見渡したとき……。

 悲鳴が出そうになって飲み込んだ。

「ヒッ!!」

 暗闇の中、ましゅちゃんが視界にうつったから。
 ……び、びっくりした。

 月明かりの中でうっすらと見えたましゅちゃんに、どきっと心臓が跳ねた。
 

「ましゅちゃんは、あの夢に関係ない……よね?」

 思わず聞いてしまった。
 返答はあるはずもないのだけれど。

 どくん、どくん。
 しんと静まり返った部屋に、わたしの心臓の音だけが鳴り響いていた。