その夜、不思議とすぐに眠りについた。

 そして夢を見た。
 深く暗い海のような場所で、わたしは立ち尽くしていた。

 夢だとすぐに気づいたのは、ふわふわと体が軽くて。
 現実離れしているような場所だったから。

「どこだろう……。暗くて怖いな」

 夢だという意識はあるのに、嫌な雰囲気に息が詰まりそうになる。
 出口を探して抜け出そうと考えていたら……。

『トモ……ダチ、』

 聞こえてきた不気味な声。
 ゾッとして体が震えた。

「だ、誰なの?」

 声の主に話かけるけど、返答はない。

『……ケラケラ』

 それは不気味な笑い声。全身の血の気が一気に凍り付くような気がした。

 この夢、おかしい! 怖い。怖いよ。
 夢なのに、なんだか現実的ですぐにおかしいと思った。

 お願いだから、夢から覚めて!
 心の中で必死に叫んだ。