学校の授業が終わるころには、どっと疲れていた。
 体が全体的に、重いような気もする。

 いつもより重い体を引きづって家に帰った。

 お父さんは今日帰りが遅いって言ってたし。
 まだお母さんも帰ってきていないようで、家の中には誰もいなかった。

 すると、懐かしいものを発見する。

「あれ、なつかしいー。ましゅちゃんだ」
 
 リビングテーブルに座っていた女の子の人形。
 それは小さい頃によく遊んでいた人形だった。
 


 世間でよくいわれているお世話人形で、くるっとした大きい目。少し笑っているような口元。

 柔らかくウエーブがかったセミロングの髪。

 その愛らしさから大人気で、シリーズ化されている人気のおもちゃだった。
 

「子供の頃、ましゅちゃんとおままごとしたなあ」

 マシュマロみたいに、ふわふわ柔らかいほっぺをしてるので「ましゅちゃん」と名前をつけたんだっけ。


 ましゅちゃんを抱きかかえると、昔の記憶が頭に思い浮かぶ。

 引っ込み思案な性格だったわたしは、幼稚園で友達ができなかったんだ。

 そんなわたしにお母さんが買ってくれたのが、ましゅちゃんだった。