すぐ手が届くところまできたのに。
優斗くんは、すっと手を引いたんだ。
いったいどうして!
「……ごめん。助けられなくて」
確かに聞こえたのは謝罪の声。
わたしはすぐ近くにいた友達、優斗くんに見捨てられた。
記憶が頭の中に蘇った。
全て思い出したんだ。
…そうだ!わたしが最後に見たのは。
溺れるわたしを助けようともしなかった二人の顔。
二人の表情も鮮明に思い出した。
感情が込み上げて、ぐっと顔がゆがむ。
そんなわたしにアリアさんは声をかけた。
「かわいそうに。怨念のせいで二人から離れられなくなっちゃったんだね?」
悔しくて、下唇をぎゅっと噛み締める。
わたしが死んだ理由も。
死んだあとも、二人のそばにいる理由も。
全部、思い出してしまった。