「やっと気づいたんだ!」

 ああ。やっぱりそうか。
 
 言葉を返しても二人の耳には届かない。
 わたしだけ会話に参加できていない。

 わかっていたんだけど。
 わたしはずっとふたりの傍から離れることができなかった。



 「わたし、死んじゃってたんだね」

 ぽろぽろと涙がこぼれ落ちていく。
 わたしの声が届いていない理由。
 それは、わたしが二人に視えていないとしたら。

 すべてつながるんだ。

 しんみりとした空気の中、アリアさんはきょとんとした顔でいう。
 
「ねえ、早くしないと制限時間すぎちゃうよ?」

 アリアさんの後ろを、ぷかぷかと浮いている砂時計。

 残りの砂の量は少ない。
 だいたい2~3分っていったところかな。
 
 制限時間内につかまらなければ、優斗くんと梨々花ちゃんの勝ち。
 つまり、この夜の学校から解放されるってこと。