「キャハハハハハッ」

 遠くから不気味な笑い声が聞こえる。
 全身に鳥肌がブワッと立った。

「アリアさんだ!」
「シッ! 静かに!」

 声を出してはいけないのに、思わず梨々花ちゃんは口を開いてしまう。


「キャハハハハハハ」

 その笑い声はどんどん近くなる。
 あまりの怖さに、足がガクガクと震える。


 どうか、この教室をみつけないで。
 そのまま過ぎ去って――。

 ひたすらに願っていると、笑い声が聞こえなくなった。


 ……もしかして、この教室から離れた?
 そう思ってホッと胸を撫で下ろした。
 つぎの瞬間。

「ミーッツケタ!!」

 突如、教壇の横からにゅっと顔が出てきた。
 さけたような大きな口は、にたっと笑っている。