「よし、梨々花! 俺の背中に乗って!まずはおんぶするから」
「う、うん……優斗、ありがとう」

 優斗くんはそういって、梨々花ちゃんを軽々とおんぶした。
 そして一気に駆けだした。

「ま、まって!」

 夜の学校が怖かったわたしは、二人を追いかけた。

 階段を駆け上り、廊下を走っていく。
 夜の学校は思っていたより暗くて不気味だ。

 こんなところに一人で取り残されてしまったら。
 そう考えただけで、体がぶるっと震えた。

 わたしは二人の後を必死についていく。


 ハア。ハア。
 息切れの声が聞こえる。

 わたしの声じゃない。
 優斗くんは、梨々花ちゃんをおんぶして走っているせいで、だいぶ疲労している様子だった。

「ねえ、教室とかに隠れるのはどうかな……」

 心配して声をかける。

「優斗……ごめんね。わたしのせいで」

 梨々花ちゃんは、震えた声でいう。

「任せろって。ただ、ちょっと休憩したいかも……」

 わたしたちは、教室にはいることにした。
 ここで身をひそめる作戦だ。


 少しでも体を隠そうと、わたしたちは教卓の下に隠れることにした。

 わたしと優斗くんと梨々花ちゃん。
 狭い空間の中に、みちっと三人で隠れた。

 こんな状況なんだけど。
 なんだか子供の頃を思い出してしまった。