「梨々花ちゃん……!」

 気づくと梨々花ちゃんを追いかけていた。
 勝手に足が動いてしまったみたい。

 感情がぐちゃぐちゃで、言いたいことはまとまってないけど。

 
 二階の廊下をゆっくり歩いていた梨々花ちゃんには、すぐに追いついた。

 階段で一階に降りようとしている手前だった。

「優斗くんのことさ、好きだったんだね。わたしには、もっと早く言ってほしかったな……」

 みんながいる場所じゃなくてさぁ…。
 だってわたしたち三人は、特別な関係だと思ってたのに。
 そう思うのは、わたしのワガママなのかな。

 梨々花ちゃんは悲しい表情を浮かべたと思ったら、目をそらされる。

 わたしはムっとしてしまう。
 だって、いくら言いにくいことだとしてもだよ!

 やっぱり目を見て、ちゃんと言ってほしいよ!

 そのまま階段を降りようとする梨々花ちゃん。
 思わず手が伸びてしまった。


「梨々花ちゃん、待って……!」

 引き留めようとした。
 そのはずだったのに……。