「優斗くんって、梨々花ちゃんか美亜ちゃんのことが好きだと思ってたけど。梨々花ちゃんだったかー」

 そう言ったのは、彩羽ちゃん。
 わたしの名前が出てきて、どきりとする。

「彩羽ちゃん! 美亜ちゃんのことは……」

 美奈ちゃんが焦ったように止める。

「あ、ご、ごめん……」

 彩羽ちゃんはハッとしたように謝る。
 表情を曇らせて、気まずそうに顔を引きつらせた。
 
 みんなが口をつぐんで、しんみりした空気になってしまった。
 なんだかわたしは申し訳なくなってきた。

 「そんなしんみりするのやめてよ……わたしは大丈夫だよ」

 力なくそういうことで精いっぱいだった。



 みんなが気まずそうにするのには、心当たりがある。
 わたしたちの関係性を知っているからだと思う。


 わたしと優斗くんと梨々花ちゃんは幼稚園からの幼馴染。
 いつも3人で一緒だった。
 それを周りのみんなも知っていたから。
 取り残されたわたしのことを、気づかってくれたんだと思う。
 
 
『わたしたちはずっと三人で仲良くいようね!』

 わたしはよく二人にそう言っていた。
 梨々花ちゃんと、優斗くんは「もちろん!」
 そう言ってくれていたのに……。
 
 梨々花ちゃんが優斗くんを好きなこと。
 なんとなくは分かってはいたけど、あらためて言われたら素直に受け止められなかった。
 
 だって、だってさぁ。
 なんだか仲間外れにされたような気持ちになる。

 わたしって性格悪いのかもしれない。
 なんだか二人のことを応援できそうにないよ。