ここから落ちたらって……。
 ま、まさか!
 この窓からってこと?

 萌香ちゃんが、ガラリと窓を開ける。
 ひやりと、外から冷たい風が吹き込んだ。
 
 ここは二階。窓から落ちたら……。
 それは――。

「な、なに考えてんの? 窓から落ちたら、死んじゃうよ!」

「やめない! 私がとびきりのネタを書いてあげるから」

 両肩をガシッと掴まれた。そのままぐっと押される。
 わたしは慌てて窓のふちを両手でつかんだ。

 だってこのままだと、窓の外に押し出されてしまう。
 ぐっ。
 どんどん力が加速する。

「任せてよ!『新聞部の部長。アリアさんのネタを追ったが、二階の窓から転落。きっとアリアさんの仕業だろう』ねえ、いいと思わない?きっと今までで一番の反響間違いなしだよ!」

 そういって、目を輝かせる。
 わたしを押す力は止まらない。

 それどころか、どんどん押し出す力が強くなっている。

 なんて力……!
 力では勝てそうにない。