「萌香ちゃん……ご、ごめんね。わたし……」
「謝らないで!七緒ちゃんのおかげで、思いついちゃったんだもん!これで良い記事が書けそうだよ!」
なんだろう。
会話をしているはずなのに。
全く伝わっていないような。
「とりあえずさ……死ななくていいから、意識不明になってもらえる?」
冗談で言っているわけじゃないとすぐに気づいた。
ぎろりと睨まれた目は、本気の目だったから。
わたしはごくりとつばを飲み込んだ。
そして。勢いよく地面を蹴った。
ぐるりと、萌香ちゃんの反対方向に向かって走った……!
懐中電灯をもっているけど、前を照らす余裕なんてない。
暗闇の中を必死に駆け抜ける。