(うーん、なんて言うか、思ってたのと違うんだよね……この人、結構ぐいぐい来る感じだなぁ……もう少し大人しめの人かと思ってたのに)

 隼人は見た目クールな感じなのだけど、案外喋るタイプらしく話し出すと止まらない。

 それはまあ退屈しなくていいのだが、咲結としてはもう少し適度な会話量が理想なのだ。

(しかも何か軽いんだよなぁ、隼人くん……明らかに女慣れしてるよね。まぁ、イケメンだししょうがないかもしれないけど……)

 話せば話す程理想とかけ離れていき、彼への想いは一気に冷めていく。

 そんな中で出て来た『彼氏に立候補してもいいのか』という言葉に、どう断ればいいか頭をフル回転させながら考えていた。

「えっ……と、いきなりはちょっと……出来ればお友達からがいいかな?」

 考えに考え、この場の雰囲気もある事からこれが最善だと咲結は『友達から』という提案を隼人にする。

「あーそうだよね、いきなり過ぎたよね、ごめんごめん。それじゃあ友達からって事で、連絡先交換しよっか」
「う、うん」

 咲結の提案を快く受け入れた隼人が連絡先を交換しよと言うので、気乗りしない咲結だったけれどスマホを取り出して連絡先交換をした。

 それから皆んなでカラオケを楽しみ、四時間程が経ったところでお開きとなった。


「咲結ちゃん、ちょっといいかな?」

 帰り際、一人で駅に向かおうとした咲結に声を掛けてくる隼人。

「何?」
「あのさ、この後少し時間ある?」
「あーごめん、今日はもう遅いし、帰ろかなって」
「本当に少しでいいんだ、話出来ないかな?」
「……じゃあ、少しだけなら」
「本当に? じゃあ近くに知り合いの店があるからそこでお茶でもしようっか」
「う、うん……」

 少しでいいならその辺で済ませればいいのにと思いつつ、駅近くで人通りも多いから仕方ないかと割り切った咲結は隼人に手を引かれて知り合いの店とやらについて行く。