パンッと乾いた音が数発、倉庫から聞こえてくる。
倉庫のすぐ側に身を潜めていた咲結にはハッキリとその音が聞こえてきた。
「……何、今の、音……」
普段は聞き慣れないその音が何なのか、何となく想像出来た咲結の身体から一気に血の気が引いていく。
「……さっくん……」
そして、咲結の頭に最悪の事態が過る。
「……やだ……そんなの……」
そんなはず無いと必死に否定し、震える身体で立ち上がる。
危険なのは分かっているし、標的が自分になるかもしれない。
それでも、今の音は何なのか、朔太郎は無事なのか、確かめずにはいられなかったのだ。
ゆっくり、一歩ずつ入り口へと近付いていく咲結。
扉に手を掛けると、中から扉が開かれ――
「何だ、隠れてなかったんだ? 探す手間が省けて丁度いいや」
拳銃を片手に持った馬宮が咲結の前に現れた。
「あ……、いや……」
逃げなきゃいけないと分かっているのに身体は思うように動かず、何歩か後ろに後退るのが精一杯。
更には馬宮が手にしている銃を見て、先程の音が何だったのかが分かる。
そして、馬宮が自分の目の前に居る事で、朔太郎が撃たれたのだと確信した咲結が絶望した、その時、
「伏せろ、咲結!!」
「!?」
突如聞こえてきた声に反応した咲結は瞬間的にその場にしゃがみ込むと、
「そいつに、近付くんじゃねぇよ!!」
「クソッ、お前、まだ動けんのかよ――」
朔太郎が鉄パイプを手に近付いて来て、驚く馬宮目掛けて振りかぶった。
馬宮は咄嗟に避けたものの鉄パイプが腕に当たり、弾みで拳銃は地面に落ちた。
「やりやがったな……」
だらんとした右腕が相当痛むのか、顔を顰めながら何とか落ちた拳銃を拾おうとする馬宮だったけれど、
「やらせねぇーよ!」
馬宮が拾うより先に拳銃を蹴り飛ばした朔太郎は、咲結を背に庇うように立ちはだかった。
「さっくん……」
「大丈夫だから、泣くな」
「うん……」
そして、咲結を安心させる為に「大丈夫」と口にした朔太郎だったけれど、よく見てみると、脇腹辺りに銃弾を受けたのか紫色のトレーナーに血が染み渡り、地面に垂れていた。
倉庫のすぐ側に身を潜めていた咲結にはハッキリとその音が聞こえてきた。
「……何、今の、音……」
普段は聞き慣れないその音が何なのか、何となく想像出来た咲結の身体から一気に血の気が引いていく。
「……さっくん……」
そして、咲結の頭に最悪の事態が過る。
「……やだ……そんなの……」
そんなはず無いと必死に否定し、震える身体で立ち上がる。
危険なのは分かっているし、標的が自分になるかもしれない。
それでも、今の音は何なのか、朔太郎は無事なのか、確かめずにはいられなかったのだ。
ゆっくり、一歩ずつ入り口へと近付いていく咲結。
扉に手を掛けると、中から扉が開かれ――
「何だ、隠れてなかったんだ? 探す手間が省けて丁度いいや」
拳銃を片手に持った馬宮が咲結の前に現れた。
「あ……、いや……」
逃げなきゃいけないと分かっているのに身体は思うように動かず、何歩か後ろに後退るのが精一杯。
更には馬宮が手にしている銃を見て、先程の音が何だったのかが分かる。
そして、馬宮が自分の目の前に居る事で、朔太郎が撃たれたのだと確信した咲結が絶望した、その時、
「伏せろ、咲結!!」
「!?」
突如聞こえてきた声に反応した咲結は瞬間的にその場にしゃがみ込むと、
「そいつに、近付くんじゃねぇよ!!」
「クソッ、お前、まだ動けんのかよ――」
朔太郎が鉄パイプを手に近付いて来て、驚く馬宮目掛けて振りかぶった。
馬宮は咄嗟に避けたものの鉄パイプが腕に当たり、弾みで拳銃は地面に落ちた。
「やりやがったな……」
だらんとした右腕が相当痛むのか、顔を顰めながら何とか落ちた拳銃を拾おうとする馬宮だったけれど、
「やらせねぇーよ!」
馬宮が拾うより先に拳銃を蹴り飛ばした朔太郎は、咲結を背に庇うように立ちはだかった。
「さっくん……」
「大丈夫だから、泣くな」
「うん……」
そして、咲結を安心させる為に「大丈夫」と口にした朔太郎だったけれど、よく見てみると、脇腹辺りに銃弾を受けたのか紫色のトレーナーに血が染み渡り、地面に垂れていた。