「良かったじゃん、無事聞けて」
「うん!」

 翌日、学校へ着くなり昨日の事を優茉に報告する咲結。

 朔太郎に送ってもらい車から降りる直前に連絡先を教えて欲しいと咲結が伝えると、快く教えてくれたのだ。

 その事で少しは脈ありかもと思った咲結だったけれど、朔太郎には別の思惑があった。

「たださ、私としてはもっと仲良くなりたいって意味で聞いたんだけど、さっくんは違ったの」
「そうなの?」
「うん。私がナンパされたりするから危なっかしいって思ったみたいで、何かあれば助けるからいつでも呼べって意味みたい」
「え、それはそれで良くない? 彼女でもないのに気にかけてくれて、危険があった時は呼べば助けてくれるんだよ?」
「そっか、確かに、そうだよね」
「それはそうと、その朔太郎さんってそもそも何してる人なの?」
「え? あ、そういえば、何してるんだろ?」

 優茉の質問に同じく首を傾げる咲結。

 聞かれてみれば、朔太郎の事は名前と年齢くらいしか知らない訳で、何をしている人なのか、何処に住んでいるのかなど、気になり出すと急に知りたくなる。

「メッセージ送って色々聞いてみたら?」
「うーん、それがさっくんってメッセージのやり取り苦手みたいで、用があるなら電話してくれって言ってたんだよね」
「今どき珍しいね。まぁ電話の方が早いって言えば早いけど、いつでも電話が取れるくらい自由の利く仕事なのかなぁ」
「うーん、そうなのかも……ああ、知りたいと思ったらすぐに聞きたくなってきた!」
「もうHR始まるし、とりあえずメッセージ送ってみたら?」
「うーん、迷惑じゃないかな?」
「電話よりいいと思うけどね。まぁ聞くだけ聞いてみればいいじゃん?」
「……そうだね」

 気になり出すと知らずにはいられない咲結だけど、これから授業もあるので電話は出来ず、迷惑かもとは思ったものの、とりあえず一言メッセージを送ってみる事にした。