執事がドアを開けて部屋に入ってきた。

「どこか具合が悪いのですか?急に部屋に戻られてしまったので」

「違う」

私は首を横に振った。

「しかし顔色が優れないようです。何か悩み事があるのですか?私でよければ相談に乗りますよ」

優しく声をかけてくる。

「私、お見合いをするのが嫌なの」

そう口にした。

「確かにお嬢様の年齢ではまだ結婚を考えるのは早いですね。しかし、財閥の一人娘であるお嬢様は、そのようなことも早い段階で考えなければなりません」

でも、私は…あなたが好きなのに…