ドラマやマンガ以外で、告白の現場を見たのは初めて。
現実世界に存在してたんだ。

「相手は二年生かな?」
「はい。クラスはちがうけど、コースがいっしょで……かわいいって有名です」
「たしかに、かわいい子だね」

たそがれる鳰先輩も絵になったけど、あのふたりも絵になっている。
そういえば、好き同士なんじゃないかって、うわさになっていたこともあった。

「まあでも、べつにめずらしい光景ではないんだけどね」
「そうなんですか?」
「友也くんはモテるからね。ああやって、呼び出されて告白されてるところをよく見るよ」

鴻上くんが人気なのは知ってたけど、あくまで友だちとして慕われているのかと思ってた。

そんなわけないよね。鴻上くんはルックスも良いし、性格も良いし。
恋愛感情としての「好き」にならないほうが、おかしい。

それは、相手の女の子にも言えることで。
鴻上くん、なんて答えるんだろう。オーケーするのかな……。

なぜか、ずきん、と心が痛くなった。

「そんなに気になる? 友也くんがなんて返事するか」
「えっ?」
「だって、食い入るように見てるし」

鳰先輩に指摘されて、自分が窓に手のひらとおでこをくっつけているのに気がついた。