よこしまな心で勇劇部に近づこうとする女の子もいるみたいだし、ミーハー心を疑われても文句は言えない。

「よくわかんないけど、べつにいいんじゃない? そのくらい」
「えっ……いいの?」

わたし、てっきりバレたら追い出されるものだと思ってた。
だって、ルール違反してるし……。

「そもそもうちの部って、女子が禁止なわけじゃないし」
「そうなんですか!?」
「ですよね、部長」

初めて聞く新事実!
鴻上くんを見ると、まったく動じていなかった。

「うんまあ、ルールでは禁止してないね。勇劇部は女子のファンが多いから、暗黙の了解的に『男子限定』としてるだけで」

そうだったんだ……。
でも、バレないほうがいいことには変わりないよね。

「で、琉衣。ものは相談なんだけど」

鴻上くんがそのあとになんて言おうとしているのかわかった。
それは鳴海くんも同じだったみたいで、鴻上くんがお願いするより先に答えた。

「わかってますよ。だれにも言いません」
「それと、咲が女子だってバレないように、琉衣も協力して」
「はい。おれも、咲也には勇劇部に残ってもらいたいし」

それって、わたしを必要としてくれてるってこと?
うぬぼれかな?

でも、この際、うぬぼれでもなんでもいい。
わたしにとって鳴海くんの言葉は、十分すぎるくらい胸を熱くするものだったから。