演劇部の合宿は、ゴールデンウィークと夏休みの恒例行事らしく。
今回のゴールデンウィーク合宿に、勇劇部も参加させてもらうことになったんだ。

期間は、二泊三日。学校に泊まってやる。
さすが芸術系の学校だけあって、宿泊施設を校内に完備しているからすごい。


学校に着くと、さっそく見知った人たちの背中を見つけた。

「鴻上くん! 吏くん! 鳴海くん!」

校門から校舎に向かって、仲良く並んで歩いているみんな。
名前を呼びながら駆けよると、ふり返った。

「咲。おはよう」
「おはよー」
「なんだなんだ、朝から元気だな」

鴻上くん、鳴海くん、吏くんの順番であいさつしてくれた。
まあ、吏くんのはあいさつと言わないけど。

「おはようございます。鳴海くん、どうしたんですか?」

よく見ると、鴻上くんと吏くんが、鳴海くんに肩を貸していてびっくり。
体調が悪い人を連れ歩いているみたい。

というか、鳴海くん、本当に具合が悪そう。顔に血色感がない。

「眠いって言って歩こうとしないから、オレたちが連れてんだよ」

吏くんが答えてくれた。
鳴海くんは、のんきにあくびをする。

「ふわぁ、全然眠れなかった。眠い」
「眠れなかったんですか? もしかして、緊張して?」

それならわたしといっしょだ。
わたしも昨日、楽しみと不安が交差して、緊張で眠れなかった。