「あっ、でも……部長さんや顧問の先生に許可を取らないと」

ちゃんとしかるべき手続きを取ってからじゃないと、入れなかった。
早合点だ。はずかしい……。

「顧問の先生はともかく、部長のほうは大丈夫じゃないかな」
「どうして?」
「だって、俺が部長だし」

えっ……。

「えぇ!? 鴻上くんが部長なんですか?」
「そうだよ。知らなかったんだ」

全然知りませんでした……。
だって、ふつう部長は、三年生がやるものだから。

ほかの学校だと、引退の関係で二年生が部長を務めることもあるらしいけど、うちの学校はエスカレーター制で高校受験がないので、引退という概念がない。
だから、権力のある三年生が務めるのがふつうなんだ。

勇劇部には、上下関係がないのかな?

「ま、そういうことだから。俺は大歓迎だよ」

鴻上くんが手を差し出してきた。

あくしゅ、かな?
その手をにぎると、鴻上くんはにこっと顔をほころばせた。

「ようこそ、勇劇部へ」