花火のように咲く、君の笑顔が見たいから

夜の静けさが部屋に満ちている。

私は窓の外に広がる星空を眺めながら、今日一日の出来事を思い返していた。
彗や宙くんにもらった言葉、莉桜との話し合い、そして自分自身と向き合った時間。

何かが確かに変わり始めている気がする。
私の心は、これまでずっとまとっていた仮面を少しずつ脱ぎ捨てようとする気持ちでいっぱいだった。
怖くないと言えば嘘になる。

でもあの時、彗が背中を押してくれたから、私は一歩を踏み出せたんだ。

「私、頑張れたよ…」
窓ガラスに映る自分の姿に向かってそっと呟いた。
いつもとは違う、穏やかな表情をしている自分の仮面に少し驚いてしまう。

そんな時、扉がそっと開いて唯が顔を出した。

「想乃、まだ起きてた？みんなでちょっとおしゃべりしようかなって思ってたんだけど…」

彼女の声に振り返ると、唯の笑顔が私を迎えてくれた。その明るさに私は少しだけ心が軽くなるのを感じる。

「うん、行く」

唯に誘われて、部屋の外に出る。
廊下は薄暗くてひんやりとしていたけれど、その冷たさがなんだか心地よかった。

歩いていくうちに、自然と唯と肩を並べる。

「今日はどうだった？なんかいろいろあったみたいだけど」
唯がさりげなく問いかけてくる。

その優しさに、私は少し考えた後で口を開いた。

「うん、色々あったよ。ちょっとだけ…自分のことが分かった気がする」

唯は「そっか」と頷き、特に深くは聞かずに微笑んでくれた。その気遣いが嬉しかった。
ホールに向かうとみんながすでに集まっていて、何やら楽しそうに話している。

笑い声やおしゃべりの音が部屋に満ちていて、私はその輪の中に入っていった。
夜が更けていくにつれ、修学旅行の終わりが近づいていることを感じる。それと同時に、もう少しで家に帰るんだなぁと心の中でほんの少しの不安が積もっていた。

それでも、今この瞬間だけはこの温かさの中に身を置いていたいと思った。

私はみんなの声を聞きながら、心の中で静かに決意を新たにした。

明日からまた、新しい自分を始めようと。少しずつ…きっと前に進んでいけると思った。