皆の姿が見えてくると、すでに次の行動を決めるための話し合いを始めているようだった。
彗がいち早く私たちに気づいて軽く手を振る。

「秘密の会議は終わったか?」

その冗談めかした言葉に、私は少し照れくさくなりながらも笑みを浮かべる。莉桜も軽く鼻を鳴らして、半分呆れたように言った。

「別に、そんな大したことじゃないわよ。ほら、次の行動は決まったの?」
莉桜はすっかり吹っ切れたみたいで、彗に対しても今までの態度よりサバサバしている気がする。

彗は「まだ決まってねぇよ」と肩をすくめながらも、なんとなく嬉しそうにしているように見えた。
その姿を見て私もほっとした気持ちになる。

その時、宙が莉桜の方を見て少し心配そうな顔をして近づいてきた。

「莉桜、大丈夫?なんか目が赤いけど…泣いてた?」

莉桜は一瞬戸惑ったように目を泳がせたが、すぐに取り繕うように笑顔を作った。

「な、泣いてないし!ただ、ちょっと風が強くて目にゴミが入っただけだよ」

宙はそれでも疑わしげに莉桜を見つめていたけれど、結局それ以上追及せずに頷いた。

「そっか。無理しないでね、莉桜」

莉桜は少し恥ずかしそうに目を逸らしながら「ありがとう」と小さな声で答えた。

そのやり取りを見て、私は胸の中に小さな温かさが広がるのを感じた。まだ完全に解決したわけではないかもしれないけれど、何かが確かに変わり始めている。

唯がそんな場の空気を感じ取ったのか、明るい声でみんなに呼びかけた。

「よし!それじゃあ二人も来たことだしー!修学旅行再開としますか!」

その言葉に班のみんなが一斉に賛成し、また賑やかな雰囲気が戻ってくる。私もその中に自然と溶け込んでいくように返事をした。