「あの、泊めていただけないでしょうか……?
そ、その今、反抗期でして、家出をしていて……」


流石に家から追い出された、とは言えない。


「へぇ?
……泊まっていけ」


「えっ?
あ、ありがとうございます!」


まさか許可を貰えるとは思っていなかった。


「なぁ、百合は?」


「え?」


…どうして知っているの?


「あ〜……知り合い」


知り合い、なんだ。


「……失礼します」


び、っくりしたぁ。


「お部屋ですが……」


「……」


このお方は喋らない。


「客室が全て埋まっている為、凪(なぎ)様と同室にしろ、との事です」


えーと、同室……?
……え!? 同室!?


「……ちょっと姉貴に文句言ってくる」


「凪様?
私の忠告を無視するという事でよろしいでしょうか?」


召使さん?からすごーくブラックなオーラが滲み出しているのは……見間違いでは無かったようです。


「あの、泊めて頂く身でアレなのは分かっているんですけど……同室というのは流石に……だ、男女ですし……」


私だって、それくらい知っている。

……その、夜の……イケナイこと。


「……別にいいけど」


「えっ」


この方……凪様?は承諾したんですけど〜!?


「……先に行っといて」


「了解致しました〜。
では、愛音様、こちらへっ!」


「……っ、はい」


もう、断れない、か……。


それにしても、テンション、高いなぁ。


「この度、担当させていただきます、東雲 明日花(しののめ あすか)と申します。
凪様の担当でもありま〜す。高二です」


「よろしくお願いします」


「お固くならないでくださいませ〜。
大丈夫ですよ」


「はい……うん。
明日花さんももっとリラックスしてね」


「りょーかい!」


あはは、もう、リラックスしている。
私としてはそちらの方がいいけれど。


「明日花ちゃん、まだかい?」


ひょこっと飛び出てきたのは…凪様にとても似ている男の子。同学年くらい、かなぁ。


「昴(すばる)様……少々お待ち下さいませ」


「ってあれ? 愛音ちゃんじゃーん」


「すみません。あの、あなたは誰ですか?」