「別に要らねー」 顔を背けられて、ついつま先に力が入る。 ……だめだよ。逃げちゃだめ。 言い聞かせて、ぐっと踏みとどまる。 「送りたい。送らせて、ください」 震える力でひらいた傘を、朔くんの頭の上に差した。 ごめんね、朔くん。 これで最後にするから、 どうか私の心を知ってほしい。