「いいよ、交換しよう」

顔を上げて真っ直ぐ前を見た。

「千和…」

「今すぐ死ぬつもりだったんだから、それがちょっと伸びるくらい別に」

「いいの?」

「うん、私の命で救われるものがあるならそれも悪くないし」

もういらないものなんだ、だったら欲しいって人にあげるのもいいよね。

そしたら私が生まれた意味も少しは。

「ありがとう千和!!」

ぱぁっと明るくなった表情で私の手をガバッと掴んだ。柊真の手の中に両手が押し込まれ、ぎゅーって握られてちょっと痛い。

「う、うん…どーいたしまして?」

一気に近くなった距離にドギマギしてしまう。

「じゃあこれで成立ってことで!じゃあ明日またここに来よう、それで石の上に手を置いて寿命を交換するってことで!」

「うん、わかったいいよそれで」

すごい、寿命を交換するのにとんとん拍子で決まっていく。

そっか、これ私本当に…

「あ、でも千和も苦しんで死にたくはないよね?」

「え、苦しむ?」

「うん、だってオレ病気だらからそれなりにはね」

「あ…」

そっか、そーゆうのもあれか…
もっと考えるべきだったのかもしれない、でも。

「私は…何でもいい死ねるなら」

どんな状況でも、別にいいの。

私の目標が叶えられるなら。

「そっか…う~ん、でもオレのこれからの短いとは言え人生を任せるわけだしなぁ」

私から手を離して腕を組んだ。

うーんと唸りながら眉間にしわを寄せている。

そっちが考えることは別にないと思うけどなぁ。

「あ、じゃあ友達になろうオレたち!」

「……は?」

「だってこれから寿命を交換するんだ、少しでもお互いのこと知っておいた方がよくない??」

「いや、どっちでも…」

これから死のうとしてる私にそれは特には必要ないんだけど、もう一度手を掴んでさらに距離を詰めた来たから。

「死ぬって言っても明日とはかさすがにないから大丈夫!」

一歩私に近付いて、さっきよりも大きい目でこっちを見てる。

「友達になろう!それで友達になれたと思ったら寿命を交換しよう!」


それは一体どんな約束なの?


でもあまりに強引に詰めて来るから、うんって頷いちゃった思わず。

「じゃあ約束ね!オレたちは今日から友達!」

そのまま小指を絡まされ、無理矢理約束を取り付けられた。

こんなハチャメチャな約束って…


ありなの??