ぐしゃぐしゃになりながら一生懸命呼吸をして、モニターに映る数字がぐんぐん上がっていく。


でも言葉が見付からないよ。


どうしよう、泣くことしか出来ない。

そんなこと思ってなかった。

そんなつもりじゃなかった。


でも浅はかだったね、私。


「ごめ…っ、ごめん柊真…っ」

自分のことで精いっぱいだった。

自分のことしか考えられなくて、人のことなんて考えられなかった。

そんなお母さんに同じこと思ってたのに。

柊真の気持ちなんて考えたことなかった。

「ごめんね、私…っ」

交換しようって言われたからそれでいいんだって思ってた。

私が死ねばいいんだって…


でもそれが傷付けた。

だって誰かと寿命を交換するなんて出来っこないんだから。


「…っ」

ごめんね、それ以外何も言えなかった。

ただ涙を流して謝って、何を言っても傷付けるだけだって。

他に何も…

「私っ」

「でも千和は苦しんでた!」

しーんと病室が静まったみたいだった。

さっきまでしゃくり声を上げていたのに。

「…え?」

すぅーっと入り込んで来るみたいだった。

「千代は…苦しんでたから、生きることに」

ゆっくり重そうな口で、丁寧に丁寧に言葉を紡いで。

「千和が死ぬのは怖くないって言った時…ちょっとだけラクになったんだ。なんでかわからないけど、少しだけ安心したんだ…」

顔をそむけた。

窓の方を見るように、ずっと天井を見ていた柊真が。

「千和が一緒なら怖くないって…っ」

あの日、抱きしめてくれた柊真の腕は華奢で脆かった。

だけど誰より優しくて何よりあったかかった。


ずっと柊真も苦しんでたんだ。


あたりまえだよね、みんな死にたくないよね。

死ぬなんて怖いよね。


私だって…


今ならそう思うのに。


だけどね、こんな私でも誰かのためになれるのならって思ったのも本当だよ。

それで柊真が救われるならよかったんだよ。



本当に私の代わりを柊真に生きてほしかった。



ここへ来て、優しくしてくれたのは柊真しかいなかったから。