風の入って来る病室は気持ちよくて、だからお母さんもよく眠れるんだろうなぁって手を握りながら顔を見てた。


安心しちゃった、久しぶりにお母さんの手に触れて。


だからついうとうとしちゃって、昨日はあまり眠れなくて寝不足だったから安らぐこの空間はすぅーっと睡魔がやって来る… 


……、… 




……。



―…… 


…。









「…!」


あっ、寝ちゃった!

おばあちゃんに夕飯には帰って来るように言われてたのに!

ハッとして目を覚ました。

体感的にはぐーっと寝ちゃった気がする、どことなく体がラクになってるし。

今何時…!?

って時計を確認しようと思った、だけどずっと右手があったかかったから…

「……。」

「千和、いつまで寝てるの?」

「お母さんっ」

ふと顔を上げると眠っていたはずのお母さんが体を起こして少し上から私の方を見ていた。

「あ、ごめんなさっ」

すぐに手を離そうと思った、ずっと握ったままだったからたぶん私が寝ている間ずっと離さなくてお母さんが困って…!


…!?


サッと離そうとした手をぎゅっと掴まれた。


ううん、握られた?

お母さんが私の手を、握った…?


え… 


握られた手から顔を上げてお母さんの方を見る。


「そばにいてくれたのね」


もろもろしい声だった。

久しぶりにちゃんと見たお母さんはこっちに来る前より痩せていた。


こんな顔してたんだ、こんな…


「お母さん、もう終わりかなって思ってた」

「え…?」

「終わりでもいいかなって、思った」

私から視線を離し、目を伏せた。

「苦しくてもうどうしようもなくて、でもどうにも出来なくて…」

お母さんの声が震えてる。それは初めて聞く声だった。

「どうしてこうなったんだろうとか、なんでここに来ることになったんだろうとか、色々考えて…全部私が悪いのにね」

涙声が響く、お母さんが小さく見えて。

「だからもう終わりでもいいって思った、ここで終わってもいいやって思った…これで全部辞められるのなら」

お母さんもそんなふうに思ってたんだ。

全部失くすつもりで、ここで…


でもそんなの自分勝手でずるいよ。

だって私は…